認定ロルファー™の利香です。
私がロルファーになるためのトレーニングをアメリカで受けていたとき、一般家庭のお部屋を借りていました。
ホストマムのブレンダは私の母と同い歳で、アメリカ人のいい面；ポジティブで与え上手、褒め上手、率直でマイペースという美点を余すところなく備えた人でした。
彼女から学んだことはたくさんありますが、中でもいちばん勇気づけられたのは、自分の限界を信じないという点でした。
彼女にはいくつかの持病があり、そのうちのひとつは非常に深刻なものです。
脳から発せられた動作に関わる信号がうまく体に伝わらず、だんだん全身の動作が小さくなっていってしまうという症状が、特に彼女を悩ませていました。
彼女は「使わなかったら機能はどんどん失われる」と考え、ありとあらゆるアクティビティに参加していました。ヨガ、ボイストレーニング、ピアノ、ボクシング、体操などなどを日替わりメニューで通い、夏は自転車（スポーツとしての自転車）、冬はスキー旅行にどんどん出かけていました。
ブレンダはネパールが大好きで１２回もネパール旅行をしていました。ネパールの貧しさに驚いたことがきっかけで、ある村には小学校を建て、中古PCを送ったりもしていました。2015年のネパール地震を間一髪で生き延びて、帰米後にすぐネパールチャリティを企画し実行しました。そこで集めた相当額の米ドルをすべて小学校を建てた村村に寄付していました。
彼女はリアリストでした。自分の置かれているシビアな現実はちゃんと認識しています。
それでも常に可能性を模索し、諦めない姿勢が素晴らしいなぁといつもわたしは感嘆していました。
私たちはつい「ない」「できない」ことにばかり着目して自分の行動を制限してしまいます。「こんな前例ないから」「私には人脈がないから」「私にはそういう特技がないから」といった風に考えて、せっかく思いついたことを諦めがちです。「ない」ことを認めるのがまるで立派なことであるかのように勘違いすらしていたりします。自分にないものを認める＝客観的で正確に事実をみている＝正しいと思い込んでいるんです。
それだったら逆もまた正しいのではないでしょうか。
事実を客観的にみて、「あ、これは私にもできる」「けっこう得意でうまくできる」と正当に評価して、自分にあるものを認識することも、また正しいと思うのです。
「ある」に着目して、やりたいこと、実現したい未来に自分をひきあげてゆく。その時に限界をあらかじめセットする必要なんてないわけです。限界は自ずから現れてくるものです。事前に「きっとここまでが私には関の山だな！」なんて考えていたのでは、その「関の山」を越えることさえできません。
「ある」をちゃんとみつめることから、挑戦への最初の一歩が始まるのだろうと思います。
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