かたいのは筋肉がしっかりしている証拠? 悪循環を生む、筋肉にまつわる勘違い

認定ロルファー™の利香です。
10シリーズのクライアントさんが「以前は固かった脚がふにゃふにゃになってて「あれっ?!筋肉落ちちゃった!」と焦りました」と仰ることがよくあります。たいてい、セッション4以降に起こる変化です。

固い=筋肉がしっかりついている証拠だと思っていらっしゃるのですが、これは勘違いです。
肩は凝っているときは固くて、凝りがほぐれると柔らかくなりますよね。脚でも腕でも同じです。柔らかく伸縮性に富んでいるのがいい筋肉で、常にカチコチに固いのは好ましくありません。この理由を今日は説明します。

運動不足で筋肉がかたいことでおこる不調


筋肉は自ら縮むことしかできません。動かさずに同じ姿勢で過ごしていたり、偏った酷使で収縮させたまま放置したりすると、下記のような不調を引き起こします。

 ・血行不良
 ・猫背
 ・しびれ
 ・こり
 ・痛み
 ・ギックリ腰
 ・膝や膝の関節痛
 ・背骨のゆがみ
 ・ストレートネック

ひどく固くなった筋肉は血行不良や神経痛をもひきおこし、その結果、頭痛や座骨神経痛などがおこると言われています。

筋肉がかたくなる仕組み

筋小胞体より筋原繊維の周囲にCa2+が放出されアクチンフィラメントとミオシンフィラメントの結合を可能とし、その結果、筋収縮が起こる。
筋生理学基礎よりスクリーンショット:参考URL https://www.youtube.com/watch?v=c70yM-M8ZkY

筋肉をほどよく鍛えている人の身体に触らせてもらうと、とても柔らかくかつ弾性があります。そんな筋肉でも、力をぎゅっと入れると固くなります。つまり、筋肉は収縮すると固くなるのです。

 生理学的な説明をすると、筋肉の収縮は、筋繊維の中のアクチンとミオシンが結びつくことで起こります。アクチンとミオシンが結びついたり離れたりすることで、筋肉は縮む・元に戻るを繰り返すのです(滑り説)。 

 脳からの「縮めろ!」という指令がないのに筋肉が収縮して固くなっている状態とは、アクチンとミオシンが離れずに結合したままの状態です。
 アクチンとミオシンの滑走がスムーズに行われるためには脳からの指令だけでなく、両者が離れるためのATP(アデノシン三リン酸。簡単にいうとエネルギー)が血流に乗って筋繊維にしっかり届くことも大事です。
 ところが、筋肉が縮みっぱなしだと、血管が筋肉で圧迫され血流も滞ってしまいます。日常生活に例えると、道路が狭くて渋滞が慢性化し、物資がほそぼそとしか届かないような状況です。ここで悪循環が始まってしまうのです。

筋肉の緊張をとる筋膜リリース

 力をこめてもいないのに筋腹がいつも固いのは、「丈夫でいい筋肉がついている証拠」ではありません。

 腰や脚は太い筋肉が多く、酷使されてもがんばれてしまうために凝ったという自覚も遅くなり、ケアも後回しにされがちです。カチコチに固くなっている筋肉は、筋肉を包んでいる筋膜に生じた滞りやねじれをゆるめてゆけば、ある程度は自発的にほぐれてゆきます。筋肉をほぐそうとして強い圧を点で加えてゆくような強もみは逆効果です。

 筋膜リリースで筋肉をほぐしても、また同じ姿勢や使い方をしたら同じことが起こります。
 同じ轍をふまないためには、姿勢を構造から変え、適切な動作を身につける必要があります。筋膜リリースやストレッチをして「姿勢に気をつけてくださいね」で終わるセラピーと、ロルフィングは違います。悪循環を断ち切って、新しい身体になるためのボディワークに興味がある方はこちらもお読みください。

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    ABOUT US
    Izume Rika認定ロルファー Certified Rolfer
    40代に入った途端に股関節を傷めてしまい、大学病院で手術を受けたのに杖なしでは暮らせない…そんな状況からロルフィングで普通の暮らしをとりもどしました。自らロルファーとなって2016年4月に東京で開業。小金井市で施術しています。