2025年のゴールデンウィーク前半、4日間のロルフィングのワークショップに参加しました。講師はアメリカからお招きしたRay McCallと田畑さんです。
Rayはクラニオセイクラルのワークを得意とする熟達したロルファーです。クラニオセイクラルセラピー(頭蓋仙骨療法)は脳脊髄液の循環に働きかけることで不調の解消を目指すワークです。とても静かで穏やか、繊細な手技です。かねてよりRayの名声はきいていたので、今回のワークショップを逃してなるものかと日程調整をして参加しました。
ボルダーで学んだPhase 2でのインストラクター(先生)のThomas Walkerもクラニオを得意とするロルファーでした。横でみていてもなにをしているのかわからないけれど、確実にクライアントの身体が変わるという不思議な体験の連続でした。
静かにクライアントの身体に触れてじっと待っていると、徐々に波のように動きと変容が始まります。あの穏やかで充実した時間はmagic hourとしかいいようがなく、幸せで心が満たされるという感覚を、生まれて初めて味わいました。
思えば、トーマスのクラスが、人生の中でいちばん幸せな体験だったことは間違いありません。

ニュートラルであること
話を今回のワークショップに戻します。
ワークショップといっても、誰でもすぐに使えて効果絶大なテクニックみたいなものを学ぶ場ではありません。やはりロルファーの企画だけあって、施術者の姿勢(あらゆる意味で。)の前提からスタートです。
あたたかい無関心という概念
わたしたち施術者は、解剖学や運動生理学を学び、人の身体に触れて変化を起こす技能を身につけています。不調を抱えてやってくるクライアントさんの役に立ちたいという善意もあります。しかし、だからといって自分の技術を効果的に使って狙いどおりにクライアントの身体を変えようとすると、うまくゆきません。
正確には、うまくいったように見えることもあります。ここをこうすればああなるからこれをするという、明確な意図を持った施術が痛みを消すこともあります。が、往々にして過剰な介入や誘導、加害的な関係にもつながる弊害もあります。
施術者が原因・結果論から自由であるほどに、クライアントの身体に備わっている自己調整力や自己治癒力の働きが活発になります。それには施術者自身がニュートラルであることが必須です。クライアントにはあたたかい無関心の姿勢で相対する(あいたいする)ように…というのが今回のワークショップで学んだ大前提でありかつ本質だと感じます。
興味を持っても意図は持たない
今回、田畑さんからは、イールディングというワークも指導していただきました。
クライアントの身体に触れずして癒やしの過程が起こる場を保つワークです。
クライアントと施術者が同じ空間にいるだけで、既にひとりでいるのとは異なる場ができます。手で身体に触れはしないのですが、「なにが起きるかな」というふんわりした関心をクライアントにむけていると、クライアントに自発的な動きが出てきたり、感覚的な変化が始まります。クライアントがひとりで寝ているだけでは起こらない現象です。
ここでいい感じの場を保つには、施術者自身も快適でいられる位置に立つことが大事です。
また、「変化を必ず起こしてやろう」「クライアントが今どうなっているのかとても知りたい」「こんな不調を訴えていたからそれをああしてやろう」みたいな意図を持つと、途端に「あれ。ちょっと圧を強く感じるようになった」とか「落ち着かない感じがする」とかのフィードバックがクライアントからやってきます。
人間も生き物ですから、自分に向けられる意図を敏感に感じとって当たり前です。だからこそ精神面でもニュートラルでいることがほんとうに重要だと実感しました。
流れと踊る

血流が届かなくなった組織は壊死します。体内の不要なものは体外へと排出/排泄され、必要なものは体内でふたたび循環します。毒素は肝臓で分解され、血液が腎臓で濾過されるように、体は常に流れる液体(血液、髄液、リンパ液など)によって維持され生かされていると言えます。
クラニオでは脳脊髄液の流れを促しますが、滞っていた流れがふわっと動き出すと、クライアントの身体(主に頭や手足)も動き始めます。その動きを妨げない程度にフォローしたり、時にリードしたりすることを、Rayはダンスに喩えて教えてくれました。
施術者とクライアント、どちらがリードする側・される側と役割を固定せず、相手の動きに合わせて踊る。
美しいメタファーです。実際にクライアントとして体験するとこのメタファーが言い得て妙で、腑に落ちます。
ワークショップでは参加者が互いにワークしあうのですが、空を高く感じたり空間を広く感じたりするようになりました。つい前のめりになって全身で集中してしまう癖のあるわたしには、自分の身体や空間に対する意識が鈍かったのもわかりました。
それとともに、やはりわたしはこういった穏やかなワークを取り入れたロルフィングが好きだと噛み締めました。
そんなわけで数年振りにこちらのブログを更新しました。
サーバーの移転もして心機一転で、サイトリニューアルをこつこつ進めています。リンク先が古いサイトだったり、レイアウトが崩れていたりするページもまだたくさんありますが、長い目でみていただければありがたいです。
今回学んだ穏やかでゆったりしたワークをぜひ色々な人に体験していただきたいので、モニターを募集します。
身体に圧をかけるようなワークではありません。チャレンジのある人にも受けていただけます。
・対象: 女性限定
・料金: 5,000円(税込)、セッション所要時間は60分ほど
・服装: ゆったりしたものであればなんでもOK
・場所: 東京都小金井市(JR中央線 東小金井駅 または 西武多摩川線 新小金井駅から徒歩6分)
・募集期間:2025年6月末日までにお申込みください
下記フォームからご応募ください