認定ロルファー™の利香です。
肩こりと猫背のふたつに悩む人たちは多く、特に一日中デスクワークをしている人は「肩が前に入ってしまっている」(いわゆる巻き肩)と悩んでいます。
肩が凝ると腕を回したり、首から肩先にかけてのあたりをぎゅうぎゅう揉んでみたりしても、前に入った肩が開くほどの効果は感じられないと思います。
今日は、肩が前に入った猫背を改善するアプローチをご紹介します。ここをほぐすと、自然と肩が開いてきて肩の緊張がやわらぎます。
凝っている「肩」の筋肉ってどれ?
腕を体の前に伸ばしっぱなしにしてする作業によって、影響を受ける筋肉は多々ありますが、その中でも肩こりに大きく関係する筋肉は菱形筋(りょうけいきん)です。これは僧帽筋の下のレイヤーにあります。
肩甲骨と背骨をつなぐ幅の広いゴムみたいな筋肉です。


腕を前に伸ばす姿勢を長時間とり続けることとは、この菱形筋にとっては「縮むチャンスがめったにないままひっぱられ続けている状態」です。
いわば過労です。
左右の肩甲骨の間にコリ、張りを感じて、肩を上にぎゅっとすくめてストンと落とすことをしてみたり、腕を回してみたりしても、ここはあんまりスッキリしないと思います。
では、菱形筋はどうやったらゆるめられるのでしょう。
ロルフィングでは、筋肉の緊張を和らげる際にもまずバランスを先に考えます。この場合、固くなった箇所そのものをほぐすより前に、肩を前にひっぱりこんでいる前面の筋肉をゆるめることに着目します。
縮んだ前面をゆるめる!大胸筋と小胸筋
肩が前に入っている姿勢では、菱形筋がひっぱられ続けているのに対し、鎖骨周りや胸の筋肉は縮みっぱなしになっています。筋肉は自力では縮むことしかできないので、ほぐして伸ばしてやりましょう。
まず、一番表面にある大胸筋をほぐします。左の大胸筋は右の手で、右の大胸筋は左の手でほぐします。指をピアノを弾くように立て、肋骨の間をなぞるようにして、胸の真ん中の骨(胸骨)から脇の方へとゆっくりと押してゆきます。
息は意識的にゆっくり・深く・細く・長く吸ったり吐いたりするようにしてください。息を止めてやらないように気をつけて。

大胸筋がほぐれてきたら、今度は小胸筋です。これは大胸筋の下にあり、自分で全部をほぐすのがちょっと難しいので、腕の付け根の丸くなっているところと鎖骨の間のポイント(平らになっているところ)をほぐします。下の画像でいったら、腕の付け根にむけてキューっと細くなってゆく箇所です。
ここを人差し指・中指・薬指の三本を揃えてぐっと背中の方へと押し込み、腕は下げたまま肩をゆっくり回してみてください。指の下で動く薄い筋肉を感じ取れると思います。人によっては押圧痛を感じるはずです。この時も呼吸は忘れず、ゆっくり・深く・細く・長めを意識して吸ったり吐いたりしてください。

片側の大胸筋と小胸筋をゆるめたら、まだゆるめていない方と比べてみてください。肩が開いて、肩甲骨が下がってきているかと思います。
肩が後ろへ戻るだけのゆるみを前につくってやれば、肩は自然と開き、はりつめた菱形筋も元の長さに戻ることができるのです。
肩の問題を胸の筋肉で解決するというと意外かもしれません。でも、体は全部繋がっています。体の前後、左右、上下のバランスをみて、より効率よく安定した変化が期待できるところへアプローチするのが大事です。
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