音楽療法で呼吸の質と量を「聴く」

認定ロルファー™の利香です。

 先日、3回目の音楽療法にいってきました。(耳管開放症の治療目的で通っています)クロッタというチェロっぽい弦楽器がお気に入りのわたしですが、今回はまた目がハートになるような楽器と出会いました。
 それは倍音フルート(正式名称忘れました…)
 銅製の円筒に、ひとつ穴が空いているだけ。円筒の一端に別パーツのヘッドをつけて、ヘッドと筒の接合部に唇を思い切りブチューッとつけて、息を吹き込みます。手は筒を支えるのみ。音階のための穴はなく、呼気(はく息)の量と質と強さで音階を調整します。

音楽療法で使うフルート

びっくりするほど上手く吹けない

 呼気の量が安定しないと、音は、びょおおおおお…と倍音が混じって頼りなく濁ります。呼気の量が安定すると、音はクリアになります。また、強く息を吐けば高くて鋭い音が出せます。
 自分の呼気のクオリティと量が、音となってわかるのが衝撃的でした。息を細く長く一定の量で吐くなんて朝めし前よと思っていました。なんの根拠もなく。ところが、実際には朝飯前どころか門前払い状態でした。
 ビョロロロロ〜〜と、へなちょこな音しか出せないことにショックを受け、酸欠状態になるまで格闘しました。

「音を出してやる!」「次こそは!」とか力むほどに音は乱れるんですよね。意気込みが息に反映されてしまうからです。雑踏で人とぶつからずにすいすい歩く時と同様に、意識を自分の頭頂部あたりに持ってきて、視線を遠くにやんわりと広げて息を吹き込むと、クリアで安定した音が出せます。
 この楽器をロルフィング®のセッションでも使いたいな〜と思ってしまいました。もちろんクライアントさんに使ってもらうのです。呼吸の質と量が音ではっきりわかるのは、ほんとうにおもしろい体験なので!

呼吸で音を奏でる

 息を使って演奏する楽器は、わたしは鍵盤ハーモニカとリコーダー、ブルースハープぐらいしかやったことがありません。しかももう遠い昔…。今回、このフルートを吹いてみて、吹いて奏でる楽器とは、生きるために必要な呼吸を音を奏でるためにふりわけているんだ…なんということだ!と愕然としました。
 呼吸を使って一生懸命音を出そうと集中していると、生きることと音を奏でることが直截結びついているような感覚になって、ひどく感動しました。感動した、という言葉でしか表現できないのがもどかしいですね。古代から現代の自分に脈々と受け継がれている、「音を奏でたい」というプリミティブな欲求に、心を揺さぶられました。

 音楽療法で用いられる楽器は、たいていがちゃんと調音されていますが、限定された音しか出せない楽器も多いのです。ちゃんとした曲を奏でるのには不向きな作りに意図的にデザインされています。こういう楽器で譜面のある曲を演奏するとなると、上手に弾こうとか正しく弾こうとか、譜面の指示通りに弾こうとかの欲やしばりがでてきてしまいます。
 音楽療法ではそういう思考に囚われずに、身体と音とを結びつける作業に集中するのが肝要なんだろうなと気がついた回でもありました。

 

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    ABOUT US
    Izume Rika認定ロルファー Certified Rolfer
    40代に入った途端に股関節を傷めてしまい、大学病院で手術を受けたのに杖なしでは暮らせない…そんな状況からロルフィングで普通の暮らしをとりもどしました。自らロルファーとなって2016年4月に東京で開業。小金井市で施術しています。