野生動物のようなしなやかな歩き方

ロルフィング®︎・10シリーズセッションのモニタークライアントのM様から、セッション2の感想をいただきました。
今回は写真つきでご紹介します。

セッション2は足、主に膝から下の下腿(かたい)と足に特化した回です。わたしは脚・足のセッションが大好きです。脚と足は、その人「らしさ」と「ままならなさ」とがつまっている部位で、ロルフィング風にいうと可能性がたくさんあるからです。

今まで何をやっていたんだろう、という衝撃

いただいた感想をそのまま引用します。

ロルフィングの第2回セッションを受けました。その前に、前回(第1回)のセッション後の呼吸について書き忘れていたので、まずはそちらから。

セッション前に深呼吸をした時には、肋骨が横に広がる感覚があったのですが、セッションのあと深呼吸をしてみると、横ではなくて、息が縦方向に入って縦に空間が膨らむ感覚がありました。これまで吹奏楽やフルートのレッスンで、腹式呼吸を何度も練習してきたつもりでしたが、もしかしてこれが本当の「横隔膜が下がる」腹式呼吸…!?と、今さらながら目から鱗でした。私はずっと「お腹を膨らませる」ことばかり意識していて、結果として自然な腹式呼吸ができていなかったのだと気づき、今まで何をやっていたんだろうとショックでした。

さて、2回目のセッションは「足」でした。施術中は、まるで森の奥に住む職人さんが、手の感覚だけを頼りに精密機械の調整をしているような、そんな静かで確かな作業を受けているような印象でした(もちろん私の中のイメージです)。右足だけが終わって立ってみた瞬間、その違いが歴然。笑ってしまうほど右足だけにしっかりとした重みがあって、「もう一生、右足一本だけで立っていられます」くらいの安定感。反対に左足はスカスカしていて、ただそこに“添えられている”ような感覚でした。

両足とも施術が終わって歩いてみると、今まで使っていなかった足の外側のライン(小指側のくるぶしから骨盤まで)が自然と使われ、重心が「かかと→外側→つま先前方」へとまるで足跡マークそのままにスムーズに流れていくのを感じました。ちなみに私のこれまでの歩き方は、足の内側ライン(うちくるぶしから太もも)を中心に使っていて、重心移動は、「かかと→つま先前方へまっすぐ」でした。しかも「外側に重心をかけるとO脚になる」という思い込みが強かったため、この変化に「本当に小指側にも重心を乗せていいの…!?」と、心の中では軽くパニック。でも、その重心移動に任せて歩いてみると、骨盤の動きも連動して、自然とモデル歩きのような、あるいは野生動物のようなしなやかな歩き方になっている感覚がありました。

これまで私は、姿勢や脱力、身体意識についてかなり学んできて、「もう大体わかった」と思っていたし、特に大きな癖もないつもりでした。けれど今回のセッションで、「中心をまっすぐに使おう」という意識がかえって身体の内側を固めてしまっていて、結果として本来使えるはずの“外側のライン”を制限していたことに気づかされ、またショックを受けました。股関節唇損傷からきていた右足の痛みは、病院でのリハビリ予約をキャンセルしようかと思うほど気にならなくなりました。

本来のパターンが顕れる

ビフォーはきちんとした立ち方で姿勢よく見えますが、垂直線が太もものあたりから両脚の中心に降りていっていないことがわかります。頭部も右に傾いています。アフターはリラックスして立っている様子で、垂直線は両脚のほぼ中心におりています。また、頭部の傾きがなくなりました。顎を引かずに顔が自然に上がっています。

アフターでは両足の間のはばが広がっているので、ビフォーの方が姿勢いいじゃないのと感じるかもしれません。が、全体的にみると垂直線をはさんで左右のバランスがよくなりました。
右足をやや後ろにひいてつま先を外へ向けるのは、ビフォーの画像でもみてとれます。おそらくこれがM様の本来のパターンだろうと思います。2回のセッションで本来のパターンが顕れてきたのでしょう。
玉ねぎの皮を一枚ずつ剥くように、その人のパターンが表面化してくるのもロルフィングのおもしろさです。単なる姿勢矯正のメソッドでは、その人のもつ個性としてのパターンはむしろ抑圧されますし、パターンを顕在化させ味わう過程も無駄として省かれてしまいます。型にむりやりはめ込むよりも、在り方に働きかけて変容を手助けするワークのほうが健康的だと思います。

この身体がどのようなパターンを持っているのか、それはどこから生まれてくるのか。どう動きたくてなにを表したいのか。そういうことを柔らかくセンシングしながらの表層セッションは、次のセッション3でひと段落となります。

ロルフィングセッションのご予約・お問合せはこちらから

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    ABOUT US
    Izume Rika認定ロルファー Certified Rolfer
    40代に入った途端に股関節を傷めてしまい、大学病院で手術を受けたのに杖なしでは暮らせない…そんな状況からロルフィングで普通の暮らしをとりもどしました。自らロルファーとなって2016年4月に東京で開業。小金井市で施術しています。